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■ 特集「設備設計/管理 最新ITレポート」 | |||||||||||||
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第15回「タブレットPCによる検査業務の効率化」 | |||||||||||||
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「設備設計/管理 最新ITレポート」の第15回は、「タブレットPCによる検査業務の効率化」をテーマに、西松建設(株) 建築部計画課課長の小野茂樹氏にお話を伺った。
西松建設(株)は、タブレット型パソコン(PC)を利用し、現場で行う各種検査の作業負担を軽減する検査システム「Nesteem-OK」を大中物産と共同開発し、自社の現場での導入を行い、大きな成果を上げている。 今回のインタビューでは、現場の各種検査システム「Nesteem-OK」の開発の経緯やその効果などについてお話を伺った。 インタビューを通して、建設現場におけるタブレットPCの今後の大きな可能性と、ITによる現場管理業務の今後の明るい未来が見えてきた。 |
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【システム開発までの経緯】 | |||||||||||||
Q: まず、現場の各種検査システム「Nesteem-OK」の開発の経緯についてお伺いできますか? | |||||||||||||
![]() 検査システムは、現場に携帯できるモバイルコンピュータであることが必須です。モバイルコンピュータには、PDA(パーソナル デジタル アシスタンツ)もありますが、画面が小さすぎて、現場検査には不向きなため、B5ノートPC用のシステムとして開発したのです。 ノートPCは、いまでこそ重量が1kg程度のものがリリースされていますが、7〜8年前はもっと重量があり、当時は携帯に適しているとはいえませんでした。また、ノートPCはタッチパネル式ではありませんので、軽量で携帯性に優れ、ペンタッチ並びに手書き入力が可能であるタブレットPCのリリースを、私どもは待っていました。 そして、昨秋に開催された“WPC EXPO 2002”を見に行った際に、タブレットPCの試作品が展示されているのを見つけ、ようやく私どもが待ち望んでいた現場の各種検査システム「Nesteem-OK」が完成する見込みが立ったのです。 タブレットPCがリリースされても、リリース後にシステムの開発に入った場合は、開発に1〜2年掛かりますが、私どもにはこれまでのシステムがありましたので、タブレットPCがリリースされてからすぐに「Nesteem-OK」を完成することができました。』 |
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【現場のニーズから生まれた施工現場検査システム】 | |||||||||||||
Q: 7〜8年前に、現場検査システムの開発に取り組まれたきっかけは何ですか? | |||||||||||||
『もちろん、現場からの要望が開発のきっかけです。私も当時は建設現場で現場管理をしていたのですが、現場での検査、特に竣工検査には大変な時間と手間が掛かっていました。
例えば、マンション工事での竣工検査は、数十から数百もの住戸の各部屋を回って手直し箇所を記録しますので、その作業量が膨大であるとともに、住戸数分の紙の図面や資料を持ち歩くことになり、数人で検査するにしても、紙の量だけでも大変な量となります。また、引渡しまでの時間は、ほとんどの場合タイトで、徹夜で行うということも少なくありませんので、より効率的な竣工検査を実現することが、強く求められていました。 これまでの紙による検査スタイルは、次のような流れでした。 まず、検査毎に各部屋毎の検査帳票(左側に図面/右側に指摘事項記入欄)を作成します。次に、現場で検査帳票に指摘事項を記入します。そして、検査終了後、現場事務所に戻り、指摘事項をExcelなどに再入力し、指摘事項毎に手直し業者を仕分けます。その後、業者別指示書を出力し、協力業者に指示をするという流れでした。 これが、「Nesteem-OK」を利用することにより、次のような流れになりました。 ![]() まず、各部屋毎の検査帳票のデータ化を行います。次に、タブレットPCを現場に持参し、指摘事項をタブレットPCに直接入力します。 検査中に指摘事項があった場合、PC画面に表示された図面の指摘箇所に専用ペンでタッチすることで引出線を引き、指摘事項をプルダウン形式で選択するだけで、担当する協力会社別の指示書が作成できます。検査時に図面に引いた線は、検査後の進捗に応じて色が変わり、対応状況をビジュアルに表示することで、指示忘れや完了確認忘れを防止する工夫もされています。 検査終了後は、現場事務所に戻り、新たな入力をほとんどせずに、業者別指示書を出力し、協力業者に指示をします。』 |
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【現場検査業務の作業量を5割削減】 | |||||||||||||
Q: 「Nesteem-OK」の利用によって具体的に効率化される部分について、詳しく伺えますか? | |||||||||||||
『上記の流れのとおり、現場で直接PCに指摘事項を入力しますので、これまでの紙による検査スタイルと違い、現場事務所に戻ってから指摘事項を再入力する必要がありません。業者別指示書も自動的に作成されますので、指摘事項毎に手直し業者を仕分けする手間も省略できます。また、原価管理システムの契約業者データを取り込めば、業者別指示書の協力業者名も入力する必要がありません。
実際にいくつかの現場に「Nesteem-OK」を導入して、その効果を測定したところ、次のような結果となりました。
現場作業時間は20%削減され、事務所作業時間は90%も削減されて、合計で50%以上も作業時間が短縮されました。 |
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【待たれるタブレットPCの普及と関連サプライの開発】 | |||||||||||||
Q: 現場検査業務の作業時間が50%以上も短縮されたということで、各現場から導入したいという要望が多いと思いますが、「Nesteem-OK」の導入は実際にどの程度進んでいるのですか?また、現状の課題は何ですか? | |||||||||||||
『現場からのニーズが高いので、多くの現場から使用したいという要望が来ています。実際に、近々いくつかの支店の各現場で展開しようとしています。 |
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【現場で受け入れられる理由】 | |||||||||||||
Q: タブレットPCには、確かにさまざまな特性がありますが、その特性を生かした建設分野ならではの活用法は、今後大いに注目されそうですね? | |||||||||||||
『昨秋のWPC EXPO 2002で行われていた、タブレットPCのデモンストレーションは、手書き文字認識や、絵が描けるという程度のものでした。従って、問題意識を持ってタブレットPCを見てなかった人には、自分の業務にどのように生かせるものなのかは、はっきりイメージしにくかったと思います。タブレットPCのようなハードのリリースを待っていたということはありますが、私は、常に“いかに業務の効率化を図るか”という観点で考えていますので、今回の「Nesteem-OK」の開発に繋がったのです。
私は、昔から“自分の仕事を楽に行うこと”をいつも考えておりましたので、約20年前から独学で自分の仕事を効率化するためのシステム開発を行っていました。現場担当でしたので、システム開発の専門でも担当でもありませんでしたが、昼は現場管理で、夜はプログラミングを行っていました。そして、積算システムや内訳書作成システムを業界の中で先駆けて開発してきました。このように、木の幹を自ら作ってきましたので、今回の「Nesteem-OK」のような実用性の高いシステムができたと思っています。 タブレットPCを見て、タブレットの意味やモバイルの意味を考え、それをいかに効率化に繋げられるかが重要なのです。建設現場を知らなければ、本当の効率化にはなかなか繋がりません。「Nesteem-OK」は、まさに現場を知っている者でしか作れないシステムだと自負しています。』 |
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【今後の目標と展望について】 | |||||||||||||
Q: 最後に、今後の目標について伺えますか? | |||||||||||||
『「現場の着工から竣工まで、タブレットPC上で完結する」ことが目標です。
現在、躯体検査シテスムと安全管理システムの開発を計画していますので、今後は竣工検査だけでなく、構造検査や安全検査にも対応が可能となります。そして、すべてのデータは、データ連動による一元管理を行いますので、再入力などの手間を大幅に省略でき、さらなる業務の効率化を図ることが可能になります。 業務の効率化を図るためには、このデータの一元管理をキチンと行うことがポイントです。 今回開発した「Nesteem-OK」は、単に現場の業務の効率化を図るだけでなく、クオリティの高い検査業務を実現しますので、社内では、“建築主への大きなアピールになる”ということで、社内普及を早くして欲しいという声が出ています。確かに建築主の信頼をさらに高めるという効果もありますので、タブレットPCの価格面や関連サプライなどの課題を早くメーカーやサプライヤに解消していただき、できるだけ早く、多くの現場に導入していきたいと思います。』 |
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