設計現場の全ての局面で時間短縮!!能率UP!!
関彰商事株式会社 環境システム事業部
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関彰商事株式会社
環境システム事業部 |
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技術部技術課 課長
柴 博美 氏 |
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設計積算課 係長
菅原和也 氏 |
現在の利用環境について
9月現在全社で11台、インターネットを利用したソフトの時間貸しで4台のFILDERが本社、5支店、各現場で稼働している。利用者は、現場の技術課の社員32名、設計課が2名。完全習熟者は半分位。その中でソフトに対して要望を出せる習熟者も4名ほどいる。
管理職は5名が使用しており「FILDERを使った作業の効率化や業務改善等の取り回し」について考えてもらっている。
年齢層は20歳代から40歳代で20歳代がボリュームゾーンとなっているが、幅広い年齢層で利用しており、これはFILDERの使い勝手の良さを裏付ける事だと思う。
導入の経緯について
全社的にCAD環境を整備することになりソフトの選定に入った。その時点では、現場で使用しているソフトが数種あり、まず社内でCADを統一していくことになった。
設計と現場のCAD経験者が集まりソフトの選定を行い、特に以下の点に留意し選定にあたった。
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設計的な考え方ではなく、現場技術者がドラフターに向かうような感じで描くことが出来る、扱いやすい、取っつきやすいソフトであること。
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現場技術者が常時使用していなくても使いこなすことが出来るソフト。つまり一日1時間、2時間の使用でも、また数週間ソフトを利用しなくても、すぐに使える操作性の高いソフトであること。
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初めての人が、すぐに描けるような操作の習得性が高いソフトであること。
上記の様な条件で検討した結果、最終候補にダイキン工業のFILDER以外に、2社のCADが残っていたが、「操作するときに開かなくてはならないウインドウが少ない」と言う事が、選定の決め手となった。やはり画面のシンプルさが一番で、3社の中で最も手書きの延長上にあるソフトであると感じた。またダイキンとはAUTO-HASからの繋がりもあり、サポート面での心配がなく、信頼感も厚かった。
使用感について

-習得性について-
3日間教育を受けて、平面図なら1週間程度で描けるようになった。
ほとんどの者が、使用経験がなかったが、他の現場業務をこなしながら一か月程度で断面図まで描けるようになった。実際に使用してみても習得性の高さを実感できた。
-5×6ボタンについて-
今までのソフトは命令をツリー形式で、コマンドがどこにあるのか覚えていなくてはならなかったが、5×6ボタンであれば、直感的に使いたいコマンドを探すことが出来る。常に使っている人であれば、ツールバーを出してその中からコマンドを拾った方が早いと思うが、現場担当者レベルで常に使用していない人にとっては、非常に便利な機能だと思う。
-ショートカットメニューについて-
無くてはならない機能。右クリックすればやりたいことがそこにあるという感じ。
-データ互換について-
「JW-CADとの互換性が非常に高く、まず化けることがない。」、「AUTO-CADについても悪くない。」という印象。
-連続作図機能について-
この機能を使って一通り描いてみてから、細かい部分を修正している。非常に効率的に作業をこなせる。
-数量拾い機能について-
今回のバージョンから系統の種類を変えられ、マスタとも完全連動して動くので、集計作業の精度が飛躍的に上がった。今現在はこの機能を使って発注までこなしてはいないが、見積もりには重宝している。
また、現在検討段階だが、この機能をつかって社内でのVE※1、提案に活用していきたい。
具体的に言うと、どの位置に配管をどう配置したら、コストを下げられるとかを検討するときに、検討図作成と同時に材料まで拾わせる。そうすると、コストを十分に意識した案を作成することが出来る。従来、3案の図面を検討する場合、3回手で拾って集計作業をしなければならず大変手間がかかったが、FILDERを使えば自動的に拾ってくれるので、迅速に作業を進めることができる。
このように作図からコスト換算までを同時に行い、「機能を満たして、いかにコストを抑える」かを、現場技術者が簡単に検討できるような仕組みを作っていきたい。特に管理者には、作図よりもコスト検討に利用するように要望、指示している。
※1 バリューエンジニアリング(付加価値の創造)
費用対効果について
本格導入して1年程度なので、まだイニシャルコストに対して元が取れたとはいえない。ただ現在でも施工図を外注に出している場合が多々あるが、来期から社内での作図を増すことで外注費を50%削減する予定で、効果が出つつある状況である。
さらに、コスト削減についても、社内で図面を描くことによる技術力の向上、VE提案まで結びつけることによるコスト削減の相乗効果をFILDERによって狙っている。
外注に出した図面では、コスト意識が反映されにくいので、社内の人間が図面を描くことは、大いに意味があると考える。バブル期には、外注図面を優先する時期があって、技術者のスキルがなかなか上がらないという問題があった。特に若い技術者は図面を描いていないので、直す技術も時間もなく、そのまま施工してしまうという問題があった。
現場担当者の技術力の向上によりコストが下がるということは十分にある。特に民需は値段勝負で、いかにコストについての提案が出来るかが重要になるので、コスト競争力という面でもFILDERはツールとして有効である。
生産性の向上
残業時間は減ってはいないが、完全にFILDERに習熟している者が担当している現場では施工図の枚数が非常に少ない。一枚の図面を効率よく流用し、活用しているので、施工図を描く時間も短縮されている。つまり個々の図面をレイヤ分けして描いているので、それぞれがテンプレートの役割を果たし効率的に運用されている。
それから打ち合わせ時間が短縮されてきている。手書きの頃は仕様が固まるまで、修正の手間を恐れてなかなか描き出さなかったが、FILDERでは修正が非常に楽なので、とりあえず描いてから打ち合わせをし、それをもとに、より具体的な打ち合わせができ仕事の進みが非常に早くなった。
また、図面の検討時間も増え、精度が高く、かつコストを十分に意識した図面が描けるようになった。
施主へのプレゼンに関しても、イメージ図による提案は、話だけではなく実際の図面で進めることが出来るので、便利。色分けも簡単に出来るので、細かい図面も一枚の上に乗せることが出来る。
FILDERを使っての時間の短縮と、その他のあらゆることへの連動、つまり図面を描く、金額を出す、見積もり、工事原価をはじく、購買用の資料となる、社内のVE提案の活用など、全ての局面においておおいに効果が期待できる。
今後の導入予定
来期、7台新規で予定している。インターネットでの時間貸しについても現場からの要望があれば随時導入を予定している。
ソフト時間貸しの利用状況について
使い勝手は全く同じなのだが、現在は緊急の場合のみの利用となっている。当面は教育に使うつもりである。せっかく研修で覚えてきても使うCADがなくては勿体ない。一人50時間もあれば十分に習熟できるので、是非活用していきたい。
ソフトを全社員分購入するには費用の問題もある。ソフト時間貸しの利用者が十分に使いこなせるようになってきて、さらに利用状況・時間をみて、その上購入の要望が出たときには買い取りについても検討していきたい。特にレンタルシステムは利用者と使用状況が正確に把握できるので、購入についての判断材料、習熟度の目安にもなる。
新入社員教育について
新人研修についてもドラフターを使わず、初めからCADを使わせている。空調・衛生設備の施工図は、電気とは違い絵の形が実物の形と近いので、CADを操作しているうちに、覚えることが出来る。
一人で施工図まで仕上げることが出来るようになるには1年くらいは必要だが、作図だけなら、一カ月もあれば描けるようになる。若い世代はパソコンに違和感を持たない分よけいに早い。
ドラフターの方が違和感を持つかも。あれは職人芸である。線の「つや」まで問われるからね(笑)。
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