設備工事業の受注高が4ヵ月ぶりの減少。平成18年1月分は前年同月比2.2%減
2006年4月13日
3月31日に国土交通省から「平成18年1月分(速報)の設備工事業に係る受注高調査結果」が公表された。
発表された基礎統計資料によると、平成18年1月分の設備工事業に係る各工事主要20社の受注総額は1,811億円で前年同月比2.2%減少となり、4ヵ月ぶりの減少となった。
発注者別に見ると、民間は1,613億円で前年同月比1.2%減と、4ヵ月ぶりの減少となった。
一方、官公庁は198億円で同9.6%減となり、2ヵ月連続の減少となった。
工事種類別の受注高は次のとおり。
電気工事=820億円で前年同月比1.8%減(民間2.6%増、官公庁34.8%減)
管工事=822億円で同10.5%増(民間8.3%増、官公庁31.9%増)
計装工事=157億円で同40.3%減(民間43.0%減、官公庁29.6%減)
本調査結果は、(社)日本電設工業協会(主要20社)、(社)日本空調衛生工事業協会(主要20社)、(社)日本計装工業会(主要20社)の調査結果を国土交通省総合政策局がとりまとめたものである。
なお、これは速報値であり、確報は後日公表される予定だ。

国土交通省がライフサイクルエネルギーマネジメントを導入
2006年4月13日
国土交通省は、パソコン上で実際の設備システムの稼働状況をシミュレートし、省エネルギー性能の評価を行う「ライフサイクルエネルギーマネジメント」(LCEM)手法を活用した官庁施設の整備・保全指導を導入すると発表した。 LCEM手法は、複数社の空調システムに関するデータを入力すると、熱源、ポンプ、空調機などの最も効率の良い組み合わせをシミュレーションするシステム。この手法により、設計時の設備システムの評価や、施工時の負荷の検証、運用状況の妥当性の確認などを行なうことが可能だ。
国土交通省は、官庁施設の省エネルギー化をさらに推進するため、「公共建築物におけるライフサイクルエネルギーマネジメント委員会」を立ち上げ、検討を進めていた。すでに標準的な設備システムについてはLCEM手法の活用の目処が立ったことから、2006年度から複数の施設においてLCEM手法を活用した評価・検証を行うとしている。
真夏・真冬のピーク負荷時や梅雨・初冬の部分負荷時など、さまざまな条件下でシミュレーションを実施することで、多様な運用実態に、より効率的に対応できる設備システムの設計や運用に役立てていきたい考えだ。

東急建設が、工事状況を近隣住民にインターネットで公開
2006年4月13日
東急建設は、建設現場における土壌汚染対策や焼却炉解体などの工事情報をリアルタイムで近隣住民に公開する「リスクコミュニケーションシステム」を構築した。同システムは、GPS車両監視システム、工事監視システム、粉じん濃度監視システムの3つのシステムで構成され、施工状況をはじめ、廃棄物の搬送状況や粉じん発生量を監視し、その状況をインターネットで現場の周辺住民に公開するもの。同社は東京都内の焼却炉解体工事に適用し、住民の施工現場への不安解消や、汚染現場の管理コストの低減につながったとしている。
GPS車両監視システムは、GPSとICタグを利用した廃棄物運搬車両の監視システム。廃棄物を運搬する車両にGPS装置を搭載し、車両の位置情報を随時確認するとともに、地域住民に公開する。NPO法人エコテクルによる第三者の視点から運行管理を記録。排出する廃棄物にはICタグを張り、積み込みから受け取りまでの一連の工程を管で理する。
工事状況監視システムは、関係者以外が立ち入れない解体現場の状況をネットワークカメラで監視し、映像をパソコン上で公開。カメラは遠隔操作が可能で、水平方向に340度、上下方向に90度可動し、約16倍まで対象をズームできる。
粉じん濃度監視システムは、ダイオキシン類の付着物除去工事中に建物から発生する粉じん量を計測し、その数値を監視するシステム。粉じんの発生原因を特定できるよう、今回の焼却炉解体工事現場では、解体対象建物の周囲4ヵ所に風向・風速計と併せて設置していた。
同社は今後、焼却炉解体だけでなく土壌汚染対策や焼却灰埋立処分場の改修工事などに積極的に導入する一方、浄化を必要とする汚染現場での管理コストを低減するシステムとしても活用し、浄化工事市場への参入を目指していく考えだ。

ゼネコン11社が共同で「ライフサイクルコスト算定システム」と「長期修繕計画システム」の改訂版を開発。
2006年4月27日
青木あすなろ建設をはじめとしたゼネコン11社は、「ライフサイクルコスト(LCC)算定システム」と「長期修繕計画システム」の改訂版を共同で開発した。同システムは、2002年に開発した現行版システムに対し、部位・部材データベース数の追加のほか、リニューアル工事や省エネルギーシステムへの対応などの機能向上が図られている。
同システムの開発に参画しているのは、青木あすなろ建設(幹事会社)、淺沼組、大木建設、鴻池組、西武建設、錢高組、大末建設、鉄建建設、東洋建設、飛島建設、ピーエス三菱の11社。今回の改訂では、初版システムの活用で得られたノウハウと顧客からの要望を踏まえ、機能向上を図っている。
今回の機能向上の内容は、システムの精度向上とリニューアル工事への対応をねらいとして、部位・部材データベースを初版の334項目からさらに約280項目を追加。また、リニューアル工事に伴う長期修繕計画書の更新機能を追加した。LCC算定では、設備システムの選択と運用費や保全費の連動を図り、運用費に影響する、水蓄熱・氷蓄熱・窓ガラス材・HFタイプ照明器具などの省エネルギーシステムの導入効果も把握できるようにした。さらに、部位・機器別のLCC算定が行える設計代替案検討システムも追加装備した。
同システムでは、集合住宅や事務所など六つの用途について、物価変動や金利を考慮した現在価値法によるLCCの計算などが可能。算定できる費目は、企画設計費、建設費、修繕更新費、運用費、保全費、廃棄処分費で、建築面積や敷地面積などの建物概要に関する基本データを用いて概算する。
今後、各社は改訂版システムを用いて、長期的な視点からの建物の建設・運営計画を立案し、リニューアル営業につなげていく予定だ。

間組と安藤建設が、地震リスク評価プログラムを共同開発
2006年4月27日
間組と安藤建設は、地震による構造物の被害をパソコン上で予測できる地震リスク評価プログラム「HASEL(ヘーゼル)」を共同開発した。
HASELは、過去の地震被害データから算出された建物種別ごとの損傷度曲線を用いる「統計値に基づく評価法」に加えて、周期ごとの最大応答を表す応答スペクトルと構造物の周期から応答値を求める「応答スペクトル法」により、地震による構造物の最大応答を評価し、地震による構造物の損傷確率を精度良く予測できる地震リスク評価プログラム。二つの予測・評価手法を組み合わせることにより、通常の建物のみならず免震構法や制震構法を用いた建物の損傷評価や、地盤と構造物の相互作用を考慮した損傷評価も可能となっている。
具体的には、技術担当者がパソコン上で建物の構造種別(規模、建設年代など)やIs値、固有周期、スケルトンカーブ(建物の荷重と変形)などの基本情報を入力するだけで建設地点の地震発生確率(地震危険度評価)を算出。同時に建物の躯体や設備の損傷確率(構造物の損傷確率評価)を評価し、最大予想損失(PLM)評価、営業停止日数評価(営業停止日数とそれに伴う損失額)年間予想損失、などを予測する。
免震・制震構法を採用した建物の損傷評価や、地盤と建物の相互作用を考慮した場合の損傷評価も行え、米国の連邦危機管理庁(FEMA)が提案する評価方法なども選択可能としている。
今後、両社は、このプログラムを活用し、投資不動産の多角的評価(デュー・ディリジェンス)の地震リスク評価業務や、耐震改修提案、地震時における企業の事業継続計画(BCP)策定の支援ツールとして活用を推進していく考えだ。

鹿島が保立東大教授と共同で光ファイバーによる構造物モニタリングシステムを開発。
2006年4月27日
鹿島は東京大学の保立和夫教授と共同で、経年劣化などによる構造物の変位(ひずみ)を、光ファイバーを利用して監視し、その健全性を診断する新しい構造物モニタリングシステムを開発した。同システムは、保立教授の研究室が提案する新方式「BOCDA方式」の光ファイバーセンサーを活用したシステム。構造物に沿って光ファイバーを設置し、設置したどの位置でも瞬時にひずみ計測を行うことができるもの。ひずみ発生の位置を数cmという精度で特定できるとしている。
光ファイバーを利用した構造物モニタリングシステムには既にFBG方式やFPI方式、BOTDR方式という3つの方式がある。FBG方式やFPI方式はひずみ発生の位置をファイバーに設置された1点または数点のセンサーでしか計測できないため、ファイバー全長にわたってのひずみ計測が不可能。また、ファイバー全長にわたり計測ができるBOTDR方式は実績が多いものの、計測に時間がかかる上、ひずみ発生の位置を特定できる限界が1mのため、適用範囲が限られてしまうという課題があった。
これに対し、BOCDA方式によるモニタリングシステムは、構造物に沿わせた光ファイバー両端から周波数の異なる変調された光を挿入し、対向する周波数の異なる光が同期する場所でのみ強い散乱光が発生するという仕組みを利用。二つの光の周波数差を分析することで、ファイバー全長のどの位置にひずみが生じたかを短時間に高い精度で特定することが可能となっている。通常時は、構造物の中央部などで動的ひずみの計測と固有振動数を常に監視するが、地震や経年劣化などの影響で固有振動数に変化があった場合、自動的にファイバー全体のひずみ分布計測に切り替わる。この結果は初期値と比較され、「変化あり」と判断された場合、インターネット経由で担当者に電子メールで通報する。
今後、同社では橋梁や発電所・空港等の重要構造物の健全性評価に積極的に活用していく方針だ。

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