設備工事業の受注高が8ヵ月連続の減少 平成21年5月分は前年同月比28.8%減
2009年8月13日
7月31日に国土交通省から「平成21年5月分(速報)の設備工事業に係る受注高調査結果」が公表された。
発表された基礎統計資料によると、平成21年5月分の設備工事業に係る各工事主要20社の受注総額は1,904億円で前年同月比28.8%減となり、8ヵ月連続の減少となった。
発注者別に見ると、民間は1,486億円で前年同月比38.7%減と、7ヵ月連続の減少となった。
一方、官公庁は419億円で同68.4%増となり、5ヵ月連続の増加となった。
工事種類別の受注高は次のとおり。
電気工事=1,003億円で前年同月比22.5%減(民間38.0%減、官公庁131.3%増)
管工事=765億円で同37.1%減(民間42.2%減、官公庁19.6%増)
計装工事=209億円で同21.2%減(民間21.4%減、官公庁20.1%減)
本調査結果は、(社)日本電設工業協会(主要20社)、(社)日本空調衛生工事業協会(主要20社)、(社)日本計装工業会(主要20社)の調査結果を国土交通省総合政策局がとりまとめたものである。
なお、これは速報値であり、確報は後日公表される予定だ。


建築物エネルギー消費量シミュレーションプログラム「BEST」の専門版が産学官の連携により完成
2009年8月13日
BESTコンソーシアム(設計事務所やゼネコンなどで構成)が開発を進めていた建築物のエネルギー消費量シミュレーションプログラム「Building Energy Simulation Tool(BEST)」の専門版が完成した。
同プログラムは、産学官が連携し、国土交通省の支援を受けながら開発が進められていたもの。建築物の形状や空調、電気、衛生設備を総合的に考慮して、年間最大熱負荷と年間エネルギー消費量を計算できる点が特徴だ。建築物の大きさや形状、空調、照明などを組み合わせて計算するため、より実際の現象に近い表現ができるという。アメダスの気象データを用い、建築物が立地する地域の日射量などを考慮することも可能で、海外の気象データも利用できる。建物の企画・設計段階に加え、運用時の実データを用いて運用・改修段階の評価も可能だ。また、各月ごとのエネルギー消費量や、空調熱源や照明といった設備ごとのエネルギー消費量が数分程度で算出され、グラフなどで表示される。
同プログラムは、「専門版」と「簡易版・基本版(省エネ計画書作成支援ツール)」の2種類があり、一般的なパソコンであれば問題なく稼働するという。専門版を利用するには開発主体であるBESTコンソーシアムへの参加が必要だが、利用機能が限定される簡易版は、インターネットを通じて無料で配布される予定。簡易版は中小規模の建築物の省エネ計画書の作成などに有効とみられ、省エネ判断手法の「簡易ポイント法」より簡単な入力で、実態に合った効率的な省エネ設計が可能になるという。改正省エネルギー法に基づく省エネ計画書の作成支援ツールと位置付ける「簡易版・基本版」は、年内の完成が予定されている。
同プログラムの詳細については、(財)建築環境・省エネルギー機構(IBEC)のホームページ(http://www.ibec.or.jp/best/)に掲載されている。


長谷工コーポレーションが構造計算データを用いた配筋施工図自動作成システムを開発
2009年8月13日
長谷工コーポレーションは、構造計算データから鉄筋の組み手や各所配筋の納まりを考慮した配筋施工図を自動で作成する「配筋施工図自動作成システム」を開発した。
同システムは、これまで専門工事業者が作成するなどしていた配筋施工図を、パソコン上の簡単な操作だけで作成可能にするもの。物件によっては数分で作成が可能。作成した配筋施工図には、仕口部や難度の高い組み手が求められる部分であっても、柱や梁などの鉄筋が位置関係に矛盾が出ないよう自動的に配置される仕組みだ。
図面からは鉄筋の間隔も読み取れ、十分な間隔が確保されていない部分は視覚的にわかりやすく表示される仕組みになっているため、施工業者は早期に鉄筋の納まり検討を行える。継ぎ手の位置、定着長さのほか、施工階とその上の階2フロア分の情報が表示されるため、上下階で鉄筋の寸法が変化する柱部分の施工ミスを防止できる。また、梁については、1段筋、2段筋の有無やそれぞれの本数も把握可能としている。
同システムでは、鉄筋が交差する仕口などでも、配筋ルールに沿って鉄筋の径や位置が自動的に図面に分かりやすく表示。そのため、配筋施工図の作成に必要な専門工事業者などの業務を省力化できる。また、同社から配筋施工図を専門工事業者に渡すことになるため、情報が一元化され、鉄筋工事の生産性の向上と施工品質のさらなる均一化が期待できるという。このほか、鉄筋の製作を工場に依頼する際の加工図の作成も省力化可能だ。
同社では、同システムを既に5カ所の建築工事で試験的に採用しており、同社が設計・施工する新築物件に順次導入していく考え。また、同システムでは、地上階が対象となっているため、今後は建物の基礎部分の作図までを対象としたシステムも開発するほか、現場に納入する鉄筋の径・形状・本数などの材料拾い出しシステムや3次元自動作図システムの開発も進める方針だ。


フジタが建設現場の環境要因を計測・監視し一元管理する統合環境計測システムを開発
2009年8月27日
フジタは、騒音・振動といった建設現場で発生するさまざまな環境要因の変化や異常などを計測・監視し、コンピュータで一元管理する「統合環境計測システム」を開発、その有効性を確認したことを明らかにした。
同システムは、騒音や振動、粉じん、排水など建設現場を取り巻くさまざまな環境問題をいち早く察知し、トラブルや災害を未然に防ぐもの。現場の規模やニーズに応じて計測項目を自由に設定でき、さまざまな作業所に短期間、低コストで導入できるのが特徴だ。
同システムでは、建設現場に設置された騒音振動計測や粉じん計測、地盤沈下計測、気象観測、水質・水位計測、カメラなどのセンサー情報を、携帯電話のパケット通信網を介してデータセンターの統合環境計測サーバーに送信して一元管理。蓄積されたデータは、現場から離れた作業所や事務所などで24時間リアルタイムにインターネット等を利用して確認できる。また、データの値が基準値を越えた場合、事務所等に警報で知らせ、さらに現場担当者にメールを送信。現場で即座に対応し、トラブルや災害を未然に防ぐことで近隣の住環境を守るとしている。
従来は、現場の環境や要望に合わせてシステム設計やプログラム開発をしていたため、受注から現場設置までに約2カ月かかっていたが、同システムでは、汎用性の高い通信盤と汎用表示プログラムの実用化によって、1カ月以内に計測体制が整い、現場ごとの開発費用も不要になったという。
同社では、これまでに29作業所で同システムを導入。計測データを電光掲示板で公開することで、発注者や近隣住民に環境配慮の行き届いた施工をアピールするなどの効果を発揮しているという。今後は、計測に必要な電力をまかなうソーラーパネルでの対応を検討するとともに、官公庁や民間の建設工事で周辺環境に配慮する技術として積極的に提案していく方針だ。


イプロスが建設業向け製品情報サイトの運用を開始
2009年8月27日
エンジニアを対象とした製品情報サイトを運営するイプロスは、建設業界に特化した製品情報サービスのサイト「イプロス建設業製品情報」(http://kensetsu.ipros.jp/)を公開した。
同サイトは、建設業界に関連した建築資材、建機、工法、各種サービスなどの幅広い製品情報を掲載。最新の情報を無料で手軽に収集することができる。利用者は、気になる製品が見つかれば、カタログデータをダウンロードしてすぐに情報を入手可能。また、取り扱っている企業に直接問い合わせることもできる。掲載された情報の中から、利用者の希望や興味を持った分野に応じたおすすめ情報のメールマガジンも定期的に配信していく予定だ。
同サイトを自社製品のPRに役立てたい利用者は、1社50点まで無料で掲載が可能。ネットサービスの特色を生かし、365日リアルタイムで引き合いを得ることができる。この他、メルマガへの掲載、サイト内での露出強化など、有料のPRサービスも用意されている。また、同社では、新サービスのオープン記念として、広告掲載作業をすべて無料で代行するキャンペーンを展開。掲載したい製品カタログやウェブサイトの製品情報について、原稿の作成から商品画像の取り込み、カタログのPDF化など、掲載に必要な作業をすべて同社が代行するとしている。
公開時点でサイトに掲載されている情報は、1,200社の製品4,400点。今後、無料登録をPRしながら掲載数を増やし、年内には、3,000社、15,000点とすることを目指すとしている。
同社は、製造業の分野で培ったインターネットを活用したBtoB製品マッチングサービスのノウハウを生かし、建設業者とメーカー、商社、建設サービス業者の効率的な出会いの場を提供することで、建設業界の活性化に貢献していく考えだ。


竹中工務店が建物における昆虫の室内侵入量を予測する侵入昆虫予測ツールを開発
2009年8月27日
竹中工務店は、昆虫が施設開口部から室内に侵入する経路などを分析評価し、施設への昆虫の侵入量などを予測できるシステム「侵入昆虫予測ツール」を開発した。
同システムは、開口部面積や照明条件など、昆虫の施設侵入にかかわるさまざまなパラメーターから、施設に侵入する昆虫を予測するもの。昆虫の動態に関係する外部の昆虫量(季節、時間帯)、外部から内部の移動(内部の光源種、捕虫器、設備種、開口面積、開口頻度、開口時間)、内部から内部の移動(前後の光源種、捕虫器、開口面積、開口時間)といった相関要素を変数としてモデル式を確立。施設計画の検討時に相関要素に関連した数値を入力するだけで、施設の部屋ごとの昆虫侵入量を算出可能で、施設建設前の捕虫システムの構築に役立つとしている。
施設に適用する防虫対策については、同社独自の蓄積データに基づき、多様な技術を用意。昆虫捕獲設備であるライトトラップを用いた効果的な「捕虫システム」や、シャッター開口前のフラッシング機能と開口後のバリアー機能により昆虫の侵入を阻止する送風設備「エアフラッシャー」、ピレスロイド系忌避物質と難通過性形状の2つの効果により、これまで対策が困難であったアリ、クモなどの施設への侵入を阻止する昆虫忌避部材「バグバンパー」など、侵入する昆虫の生態に合わせて最適な防虫対策を提案する。
同社では現在、昆虫の生息環境の違いなどの地域性を踏まえ、大学と協力しながら同システムの予測精度の高度化を進めている。また、昆虫の侵入メカニズムや被害予測を簡易に明示できる営業ツールとして、顧客への提案活動に積極的に活用していく方針。今後は、業界内で先進的に取り組む防虫対策を自社のブランド技術に位置づけ、提供する防虫ソリューションの他社との差別化を図っていく考えだ。

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