設備工事業の受注高が7ヵ月連続の減少 平成21年4月分は前年同月比18.4%減
2009年7月9日
6月30日に国土交通省から「平成21年4月分(速報)の設備工事業に係る受注高調査結果」が公表された。
発表された基礎統計資料によると、平成21年4月分の設備工事業に係る各工事主要20社の受注総額は2,299億円で前年同月比18.4%減となり、7ヵ月連続の減少となった。
発注者別に見ると、民間は2,022億円で前年同月比22.5%減と、6ヵ月連続の減少となった。
一方、官公庁は277億円で同35.0%増となり、4ヵ月連続の増加となった。
工事種類別の受注高は次のとおり。
電気工事=1,091億円で前年同月比23.6%減(民間25.8%減、官公庁9.8%増)
管工事=934億円で同21.5%減(民間24.9%減、官公庁22.2%増)
計装工事=354億円で同14.9%増(民間1.1%増、官公庁116.2%増)
本調査結果は、(社)日本電設工業協会(主要20社)、(社)日本空調衛生工事業協会(主要20社)、(社)日本計装工業会(主要20社)の調査結果を国土交通省総合政策局がとりまとめたものである。
なお、これは速報値であり、確報は後日公表される予定だ。


飛島建設が岩盤スケッチ記録作業を省力化する岩盤面描写支援システムを開発
2009年7月9日
飛島建設は、建設工事の基礎掘削等の後に露出する岩盤・地表面の地層形状、傾斜、地質、湧水などを記録する岩盤スケッチにかかる時間や手間を大幅に軽減し、より正確な描写を可能にする「岩盤面描画支援システム」を開発した。
同システムは、同社がこれまでに開発・実用化した精密写真測量システムやトンネル施工情報管理システム、斜面挙動やトンネル変位計測などの施工管理支援技術や防災技術に、独自のデジタル画像処理技術を応用したもの。記録する掘削面を実物の長さを示す箱尺や巻き尺をスケッチ対象と同時にデジタルカメラで撮影し、尺度をもった画像として加工してパソコン(PC)に取り込むため、スケッチ対象範囲の測量など準備作業が大幅に省力化できる。また、PCの画面上でマウスやタッチペンを使ってメモを直接書き込めるほか、簡単に寸法を計測することも可能。現地測量などの準備作業を大幅に軽減し、作業の容易性を向上するという。
PC上で描くスケッチそのものが電子データとなるため、今まで別処理で電子化するなどの処理をしていた後処理の作業が大幅に軽減。また、地質や岩級などの区分を示す分布図や、湧水や亀裂のみを示す分布図の作成など、さまざまな用途にも利用が可能だ。スケッチや地質技術者のコメント記録を画像上に描画するため、基礎岩盤面など建設当時の施工品質を表示でき、視覚的に把握しやすい管理記録として残すことができる。
このほか、取り込んだ写真画像で岩盤やスケッチ対象範囲全体を確認可能なため、描画を進めている位置の確認が容易となる。このため、岩盤から離れてみたり近接したりといった移動する労力が軽減され、スケッチ作業の効率を向上している。また、画像を確認しながらスケッチを進めるため、記述漏れや、位置の大幅なズレなども低減できるとしている。
同社は今後、同システムを施工時の品質管理方法の一つとして、総合評価入札方式などの技術提案に活用していく考えだ。


太平洋セメントがRFIDを活用したコンクリート構造物の腐食環境検知システムを開発
2009年7月9日
太平洋セメントは、ICタグ(RFID)を利用したコンクリート構造物の腐食環境検知システムを開発した。
同システムは、コンクリート表面と鉄筋の間にRFIDと接続したセンサーを設置し、鉄材に生じるわずかな電気的な特性の変化を、専用の読み取り・書き込み装置(リーダー・ライター)を使ってRFIDから把握する仕組み。鉄筋コンクリートの内部にあるセンサーが測定した鉄筋の腐食状況をRFID経由で読み取り、塩害によるコンクリート構造物の鉄筋腐食の状況を外部から測定できるのが特徴だ。RFIDを利用することで構造物の点検時に非接触で計測が可能。電池を搭載しないパッシブ型のRFIDを採用しているため、電源の供給や電池交換が不要で、長期間にわたり構造物の健全性を確認できるとしている。メモリーも内蔵しており、データの書き込みや保持も行える。
データの読み取りなどに使う周波数は、UHF帯(950MHz帯)を使用。リーダー・ライターの消費電力を抑えつつ、20cm程度の通信距離を確保し、RFIDをコンクリートに埋設しても安定した通信環境を実現したという。
海岸付近に建設されるコンクリート構造物は、塩分がコンクリートに浸透し内部の鉄筋が腐食する「塩害」の影響が懸念されている。同システムを利用することで、塩分の浸透が鉄筋に到達する前に対策を講じることができ、効率的な予防保全による構造物の長寿命化、ライフサイクルコストの低減が図れるとしている。
同社は、センサー付きのRFIDで鉄筋のひずみを測定する「非接触ひずみ計測システム」を2009年8月にも発売する予定で、同システムとともに、RFIDによる構造物維持管理システムの充実を図っていく方針だ。


国土交通省国土地理院が国内初となる都市圏活断層図のWeb提供を開始
2009年7月23日
国土交通省国土地理院は、全国の都市圏の活断層分布を示す「都市圏活断層図(縮尺25,000分の1、138面)」のインターネットでの公開を7月1日から開始した。全国の都市圏活断層図の提供は国内では初めてとなる。
1枚の分布図には東西20〜23キロ、南北18キロの横長図と東西17〜19キロ、南北26キロの縦長図の2種類を用意。活断層のズレの方向や詳細な位置について色分けして表示する。データ公開日の7月1日には、それまで1日3,000件前後だったウェブサイトへのアクセス件数が、25,000件にまで急増したという。
また、国土交通省が本年度の提供開始を予定しているのが土地の履歴図だ。40年前に調査を開始した全都道府県の土地分類基本調査のデータに、人工改変前後の地形や、地震などの災害履歴の詳細情報を重ね合わせて提供する。早ければ年度内に仙台市と大阪府のデータを先行して公開し、来年度以降に順次拡大する予定だ。
活断層分布や土地履歴のデータを利用することにより、地方公共団体が学校や病院などの建物を計画する際に、立地場所の土地条件などの把握が可能で、耐震性能レベルの決定などに役立つという。災害時に危険な場所についても、計画検討段階で除外するなど災害を未然に予見し、効果的な防災対策につながるとしている。また、民間企業が土地を売買する際にも、事前にデータチェックをすることで、取引でのトラブル回避にもつながるとみられている。
国土地理院は、地理空間情報の提供は今後も増加するとみている。経済産業省や環境省などの他省庁でも、独自の地理空間情報を公開する動きを加速させており、各行政機関では、公開データが一般市民や地方公共団体、民間企業などに広く活用され、自然災害の被害軽減や安全な土地取引の促進などにつながることを期待している。


石井幹子氏、岡村製作所、ロームの3者が
サーカディアンリズムに則った次世代オフィス照明を共同開発へ
2009年7月23日
照明デザイナーの石井幹子氏、岡村製作所およびロームの3者は、次世代のオフィスライティングシステム「次・オフィス ライティングシステム(THE Office Lighting System)」を共同開発すると発表した。
同システム全体の照明デザインを石井幹子デザイン事務所が担当、またLED照明およびコントロールシステムをロームが、照明器具を組み込むオフィス什器のデザイン・製作を岡村製作所が担当する。
同システムは、自然環境に適合した1日周期のリズム「サーカディアンリズム」に則った照度変化や、1日の時間に合わせた色温度変化をプログラミングにより自動調光し、無線でコントロール。年間365日、日ごとの変化に即したナチュラルな照明で、人に優しく、快適に作業できるオフィス空間づくりを目指した画期的なライティングシステム。照度、色温度の変化をコントロールしやすいLEDライトを採用し、省エネルギー、長寿命、水銀レスなど環境にも配慮した照明システムとしている。また、オフィス家具に直接照明を組み込むタイプとすることで、レイアウト変更や照明の調整が容易にできるようにする。
このほか、「サーカディアンリズム」に合わせて照度変化する組み込みタイプの「アッパーライト」に加え、作業時に手元で活用する「タスクライト」を用意。作業時には好みの照度で仕事ができるようにする。
3者は、標準的な照明に比べワークスペースの年間消費電力を約70%以上削減することを目標に開発に取り組むとしている。
岡村製作所では、今年9月17日にオープンする岡村製作所の実験スペース「オフィスラボ」(東京都千代田区)に新システムを導入、実験・検証を経て年内には商品化する考えだ。


佐藤工業がコンクリート表層部の健全性を容易に診断するコンクリート健全性評価システムを開発
2009年7月23日
佐藤工業は、コンクリート表層部の健全性を容易かつ迅速に診断するコンクリート健全性評価システム「健コン診断ポータブル」を開発した。
同システムは、打音法を用いたコンクリート健全性評価システム。芝浦工業大学の魚本健人教授と同社が2000年に共同開発した打音法によるコンクリート健全性評価システム「コンクリートヒッター」をベースに機器構成のコンパクト化とシステムの簡略化を図ったもの。携帯性を高め、同時に診断スピードを迅速化。点検者1人でも診断できるのが特長だ。
同システムが採用している打音法とは、ハンマーで打撃した音をマイクロフォンでデジタル録音し、音の特性である振幅、周波数や減衰などを分析して、はく離や空洞など、コンクリート内部の欠陥の有無といった健全性を評価する手法。これまでにトンネル覆工や橋梁床版、水路構造物などのコンクリート健全性調査に活用されてきた。
同システムの特長は、ハンマーやマイクロフォンの電源となるアンプ類をセンサー内に収納、機器全体をコンパクトにしたほか、診断用ソフトの改良により測定から結果表示までの時間を「コンクリートヒッター」の10分の1に短縮した。また、システムの簡略化により、誰でも短時間で測定方法を習得可能だ。同社によると、準備工から報告書作成までの調査業務一式の費用を「コンクリートヒッター」と比較して30%削減可能としている。
同社は今後、各種施設管理者に対して維持・管理業務への有効なシステムとして、同システムの採用を働きかけていくとともに、構造物の種類、診断結果に応じた補修方法のメニューを整備して、調査診断から補修工事までの一貫した受注拡大を目指す考え。また、大学や他の研究機関と、打音法の利用に関する共同研究も行っていることから、新たな適用分野の開拓も図る方針だ。

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