設備工事業の受注高が6ヵ月連続の減少 平成21年3月分は前年同月比22.1%減 |
2009年6月11日 |
6月5日に国土交通省から「平成21年3月分(速報)の設備工事業に係る受注高調査結果」が公表された。
発表された基礎統計資料によると、平成21年3月分の設備工事業に係る各工事主要20社の受注総額は2,525億円で前年同月比22.1%減となり、6ヵ月連続の減少となった。
発注者別に見ると、民間は2,079億円で前年同月比31.3%減と、6ヵ月連続の減少となった。
一方、官公庁は445億円で同3.3%増となり、前月の減少から再びの増加となった。
工事種類別の受注高は次のとおり。
電気工事=1,031億円で前年同月比24.9%減(民間28.7%減、官公庁6.3%増)
管工事=1,307億円で同20.8%減(民間26.5%減、官公庁17.3%増)
計装工事=267億円で同23.5%減(民間16.2%減、官公庁46.9%減)
本調査結果は、(社)日本電設工業協会(主要20社)、(社)日本空調衛生工事業協会(主要20社)、(社)日本計装工業会(主要20社)の調査結果を国土交通省総合政策局がとりまとめたものである。
なお、これは速報値であり、確報は後日公表される予定だ。
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建築研究所らがICタグを活用した配筋検査支援システムの実証実験を実施 |
2009年6月11日 |
(独)建築研究所と大成建設、安藤建設、奥村組、三井ホーム、大和ハウス工業、NEC、パナソニック電工の民間企業7社は、共同研究した「ICタグを活用した配筋検査支援システム」の実証実験を東京都江東区の建設現場で実施した。今回の実証実験は、同システムの操作性や現場での課題などを把握することを目的として、奥村組が施工を担当している規模RC一部S造5階建て、延べ床面積2,395.66m2の物件で実施したもの。
同システムは、ICタグやPDA(携帯情報端末)などを活用し、検査の手間や検査報告書の作成業務を軽減するとともに、効率的に検査情報を管理するための支援技術。複製が不可能なICタグを利用することで、固有の情報を識別し、蓄積された情報の信頼性を担保するという。
同システムでは、ICタグ(工事区域と検査種類ごとに1枚)と検査担当者用のPDAで検査を行う。実証実験では、2工区で合計14枚のICタグを施工現場内の所定の場所に設置して配筋検査を実施した。検査担当者がPDAをICタグにかざすと、ICタグに記録された工事区域と検査種類が特定。検査項目などの検査支援情報がPDAの画面上に表示される。検査担当者はPDAの表示内容に従い、検査結果と併せて、検査写真や音声、文字情報などの情報をPDAに入力する。検査時間は初心者で約3分、慣れれば1分以内で可能だという。電子データとして記録した検査結果を利用するため、検査報告書や検査写真報告書の作成も容易で、従来の検査方法と比較しても、検査から報告書作成までの作業を大幅に軽減できたとしている。
同研究所と7社は、同システムの木造への適用に向けた研究も開始しており、実証実験で抽出された課題を研究し、同システムの改善に役立てる方針だ。今後は、検査種類の充実や報告書フォーマットの拡充などシステムの改善を進め、2009年度中の実用化を目指すとしている。
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前田建設工業が建設・設備の新規投資における費用対効果を
簡易に分析可能な評価プログラムを開発 |
2009年6月11日 |
前田建設工業は、事業のフィージビリティ・スタディ(FS)段階において、新規投資に対する費用対効果を簡易に分析・評価可能な「投資経済性評価プログラム(FS-i)」を開発した。
同プログラムは、専門的な知識・経験が求められる建設・設備投資について、経営・経済的な観点で事業の初動期から中長期にわたる将来性を一貫して分析・評価する仕組み。受注増に対応するための拡張を行う投資(増産計画)やコストダウンを目的とした投資(省力計画)、新しい設備に切り替える投資(取り換え計画)、既存製品の改良・新製品の開発を行う投資(製品計画)など、多様な投資計画に対する費用対効果を容易に分析・評価可能としている。また、同プログラムの評価フローは、初めに工場・事業所の操業状況などの現状を把握して、変動費や固定費、販売費などを整理。現状のまま推移した場合の数年後を予測し、中長期的な販売計画をもとに生産・販売にかかわる変動費などを算出する。続いて、投資計画をもとに複数の検討案を立案するとともにその将来を予測。製品戦略などを加味して中長期的な販売計画を明示し、各案で相違するコストの比較を実施する。最終段階で、現状のまま推移した場合と投資計画をもとにした検討案とを比較して、正味利益額(投資回収期間の年価換算)が最大のものを最適案として提示するという。
同プログラムは、建築関連法規に準拠した建築計画のFS業務や、製品戦略の立案に有効なポートフォリオ分析にも対応。同社独自のインダストリアルエンジニアリング手法を用いた施設改善・生産効率化に関する解析結果と連動させることで、コスト面での分析・評価も行えるとしている。
同社では、同プログラムをさまざまな事例で検証しながら高度化を進めており、2009年の夏以降に顧客向けのサービスとして、本格的に提供を開始する方針だ。
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NTTファシリティーズがエンジニアによる設備監視・保守サービスを追加した
エネルギーモニタリングサービスの提供を開始 |
2009年6月25日 |
NTTファシリティーズは、エネルギー使用量の「見える化」を提供するエネルギーモニタリングサービス「Remoni(リモニ)」に、エンジニアによる設備監視・保守サービスを追加し、オプション提供を開始した。設備保守に精通したエンジニアが24時間365日体制で遠隔設備監視や取り次ぎ、駆けつけなどの有人対応を行う。
同サービスは、電力量、電力値、温度、二酸化炭素(CO2)濃度、警報などの各種計測データをインターネットから収集し、ASP方式で提供するもの。収集したデータを活用した分析評価、CO2削減、省エネ施策等のコンサルティングサービスも提供する。ASP方式のため初期投資が抑えられる上、少点数から多点計測まで対応可能。計測点の増設も容易で、複数拠点の一元管理が可能だ。
エネルギー管理の対象となる設備には、電源装置や空調装置、セキュリティなどの異常検知や、技術者による迅速な復旧が必要とされている。今回のサービス拡張によって、設備監視・保守のアウトソーシングに対応。ASPを利用した顧客自身のモニタリングに加え、同社が提供する24時間365日体制の有人対応サービスを受けることができる。
同社は、遠隔設備監視技術やNTTグループの省エネ活動で培ったノウハウを生かし、モニタリングや省エネ対策などエネルギー管理を総合的にサポートするエネルギーモニタリングサービスを展開していく方針。エネルギー消費量の管理が積極的に行われていない中小規模の既存オフィスや店舗を中心に営業展開するとともに、機能のさらなる充実も図っていく考えだ。
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大林組がPDAとデジタルカメラを連携した配筋検査支援システムを開発 |
2009年6月25日 |
大林組は、配筋検査における検査作業の効率化と品質管理の向上を図る目的で、PDA(携帯端末)とデジタルカメラを連携させて、配筋の全箇所・全数検査記録と工事写真を一括管理する「配筋検査支援システム」を開発した。
同システムは、IT系子会社のオーク情報システムが外販している情報記録・共有システム「GLYPHSHOT(グリフショット)シリーズ」の第3弾として開発したもの。鉄筋工事に関する構造図を電子化することにより、直接PDAから図面を参照可能。さらに図面上の検査箇所がアイコンで表示され、アイコンに登録された断面リストや部位・工程別にリスト化した検査項目が確認できるため、現場ではPDAに表示された検査項目に従うだけで、確実に効率良く検査を行えるとしている。また、これらの位置情報や検査項目をメモ機能搭載のデジタルカメラに登録することで、メモ情報に基づいた工事写真データの自動仕分けが可能となり、検査記録と配筋写真が一致した品質管理表が自動的に作成できる。
同システムにより、紙ベースのチェック作業が不要となり、現場によっては数万枚に達する写真の管理を効率化できるため、検査後の結果・写真整理を含めた配筋の検査作業の労力を2〜6割低減できるのが特徴だとしている。
同社はすでに、11現場で同システムを運用中で、(独)国立病院機構横浜医療センター新築整備等工事の現場では、工事写真約46,000枚と予想されている従来の配筋検査の事務作業の7〜8割削減できたと推測している。今後は、将来の外販も視野に入れ、建築現場のほか、RC基礎を構築する鉄骨工事や工場製作部材の検査などでも活用する考えだ。
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鹿島建設らが建物の構造的健全性を常時評価できるユビキタス構造モニタリングシステムを開発 |
2009年6月25日 |
鹿島建設と東京大学森川研究室は、加速度センサーや無線通信モジュールを組み合わせて、建物の構造的健全性を常時評価可能な「ユビキタス構造モニタリングシステム」を共同開発した。
同システムでは、3軸加速度センサーやSRAMなどを搭載した同社開発の加速度センサーモジュール、超小型・高性能プラットフォームである同研究室開発の無線通信モジュールを組み合わせ、構造モニタリング向けの専用モジュールを開発。センサーネットワーク内の時刻同期・データ収集、地震研地を行う管理(シンク)ノードとSRAMに保存した計測データに関する送受信を行うセンサーノードで専用モジュールを利用する。
同社では、数年前から同社の研究施設が入居する東京秋葉原の超高層ビルに同システムを導入し、試験運用でモニタリング性能などを検証。これまでに台風や地震による揺れを高精度に観測し、実用性を確認している。複数台のセンサーを建物の各階層に設置する場合、シンク・センサー両ノード間の無線通信が1対1で行えない恐れがあることから、新たに中継ノードを介したマルチホップ通信方式でデータ収集するシステムを開発し、引き続き同ビルでマルチホップ通信によるモニタリングを継続している。
同社は、現在実稼働中の同システムについて、1フロアに8台のセンサーを設置した構造モニタリングのユビキタス技術は世界でも初めてとしており、導入コストについても、市場競争力のあるレベルまでのコストダウンにめどがついたとしている。
今後は、同社関連施設への水平展開を図りながら、システムの高度化、防犯・防災など用途の多様化に取り組む考えで、建物の品質保証サービスでの活用などを視野に、差別化技術として顧客に積極提案していく方針だ。
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