設備工事業の受注高が2ヵ月ぶりの増加 平成22年3月分は前年同月比38.9%増
2010年6月14日
5月31日に国土交通省から「平成22年3月分(速報)の設備工事業に係る受注高調査結果」が公表された。
発表された基礎統計資料によると、平成22年3月分の設備工事業に係る各工事主要20社の受注総額は3,507億円で前年同月比38.9%増となり、2ヵ月ぶりの増加となった。
発注者別に見ると、民間は2,860億円で前年同月比37.5%増と、2ヵ月ぶりの増加となった。
一方、官公庁は647億円で同45.2%増となり、2ヵ月ぶりの増加となった。
工事種類別の受注高は次のとおり。
電気工事=1,416億円で前年同月比37.4%増(民間32.1%増、官公庁65.9%増)
管工事=1,850億円で同41.6%増(民間42.8%増、官公庁36.4%増)
計装工事=403億円で同47.9%増(民間41.9%増、官公庁79.0%増)
本調査結果は、(社)日本電設工業協会(主要20社)、(社)日本空調衛生工事業協会(主要20社)、(社)日本計装工業会(主要20社)の調査結果を国土交通省総合政策局がとりまとめたものである。
なお、これは速報値であり、確報は後日公表される予定だ。


竹中工務店が次世代型オフィスでiPadなどを使用し、省エネ効果の実証実験を開始
2010年6月14日
竹中工務店は、今年4月に竣工した同社の関連会社TAKイーヴァックの新砂本社ビル(東京都江東区)で、省エネルギーを追求した次世代型オフィスの実証実験を開始することを発表した。
同実験は、同社が開発した空調、照明、制御の3要素技術を駆使した次世代型オフィスルームを、同一建物内の一般型オフィスルームと比較して、CO2排出量を3分の2以下に抑えられることを実証するもの。米アップル社製の多機能型携帯端末iPhoneやiPadなどの端末を使い、個人がパーソナル空調の温度や照明の照度を自由に設定できるシステムも盛り込んだ。なお、同実験は、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けて実施するという。
同実験では、TAKイーヴァック新砂本社ビル内に次世代型オフィスルームを広さ約170m2で構築し、その省エネルギー効果を、現在の建物で広く用いられている設備を採用した一般型オフィスルーム広さ約1,000m2と比較する。次世代型オフィスルームは、「中温エコ空調システム」や「膜放射空調」、「パーソナル空調」、「LEDを採用した天井・机上照明」、「空調と照明を統合した制御システム」で構成。これに対し、比較対象とする一般型オフィスルームは、現在の建物で広く用いられている「ビル用マルチ空調(空冷ヒートポンプパッケージ熱源)」、「蛍光灯ベース照明(机上面750ルクス)」で構成する。
同実験の実施期間は、2010年5月から2013年5月までの約3年間の予定。実際に従業員が入居した状態で運用しながらデータを収集・解析し、省エネ効果を定量化することで、システムの総合的な評価・検証を行うとしている。同社は今後、既存の空調機器をそのまま活用できるよう工夫し、コスト増を抑えることで中小オフィスビルへの適用を狙う考えだ。


鹿島がICタグを活用したプレキャストコンクリート部材の品質管理を実施し、新たなトレーサビリティ手法を構築
2010年6月14日
鹿島は、ICタグを活用したプレキャストコンクリート(PCa)部材の品質管理の取り組みを開始した。Pca部材にICタグを埋め込み、施工時に加え、竣工後の品質管理にも使える新たなトレーサビリティ手法を構築。ICタグに製作段階で入力された強度や材料、配合などの情報を、携帯情報端末(PDA)を使い現場で確認する。
同手法は、PCa部材の製作の過程において、PCa部材にICタグを埋め込み、部材管理に必要な情報を入力して、それらを施工中および完成後もPDAで認識可能にするもの。このほど、同社旧本社跡地に建設中の大型複合ビル(東京・赤坂)の建設現場で導入した。これまで、PDAを活用した現場内での部材管理は行われていたが、ICタグを埋め込んで部材管理は初めてのケースという。
同現場に適用するPCa部材は種類が多く、強度が異なるため、部材管理の一層の厳格化が求められている。使用するPCa部材は、1mm2あたりの設計基準強度が36〜150ニュートン(N)と幅広いが、見た目では判別できないものもあるという。同現場では、約200の部材に大きさ22mm、書き込み可能容量112バイトのICタグを製造時に埋め込み、PCa部材の詳細を入力しておくことで品質管理を実施。作業員が携帯するPDAで製造情報を容易に引き出せる上、既に開発済みの新建方計画・管理システムと組み合わせることで、工事の進捗状況を3Dモデル上で立体的に把握可能としている。
同社は今後、同手法を活用することで設置されたPCa部材のトレーサビリティの向上を図り、発注者・ユーザーからの将来的な品質情報の保管と活用を容易にしていく考えだ。


清水建設がビル風を3次元映像化する計測システムの運用を開始
2010年06月25日
清水建設は、ビル風を3次元映像化する「可視化画像流速計測システム」を開発し、同社の技術研究所で運用を開始した。
同システムは、ビル風などを予測する風洞実験の精度を高めると同時に、風の動きを見える化するもの。
同システムでは、レーザー光が透過する材料で製作した模型、レーザー光を分岐する特殊ミラー、2台の高感度高速デジタルカメラなどを使用。構造物の模型の周囲に流れる空気中の約1ミクロンのシーデング粒子をレーザーシートで発光させ、その動きをデジタルカメラで撮影して2断面で計測する。計測断面は任意で調節可能で、撮影した映像の瞬間画像における粒子の移動パターンを解析することにより、リアルタイムに変化する粒子の流れを把握できるという。また、モニター画面では、3次元の映像から模型に吹き付けた風がどう変化するかを可視化可能。計測装置の治具の影響を受けずにおよそ1,800地点を同時に計測することができ、より精度高い情報を得られる点が特長だ。
同システムによって、同社の実験データの精度はさらに高まるほか、計測時間の短縮に伴い、実験コストの低減も見込めるという。風の動きを見える化したことで、現地に吹く風を受けるイメージを表現でき、施設の配置計画や風対策費用の妥当性をわかりやすく説明可能としている。
同社は今後、同システムの3次元映像の見せ方などをさらに工夫していく方針。デベロッパーに対するプレゼンテーションなどに利用するほか、最適な施設計画の立案・提案に役立てる考えだ。

フジタが鋼管柱へのコンクリート充填管理を見える化する管理システムを開発
2010年06月25日
フジタは、鋼管(CFT)にコンクリートを充填する工程を可視化して管理する「CFT充填管理システム」を開発し、現在施工中の「(仮称)東上野四丁目計画新築工事」(東京都台東区)の高強度コンクリート充填施工に適用したと発表した。
同システムは、レーザー距離計とCCDカメラを一体化した治具、管理データを把握するためのモニター、Webカメラなどで構成。レーザー距離計とCCDカメラを一体化した治具を途中階のコンクリート圧入口や鋼管の最頂部に取り付け、コンクリート圧入速度グラフと鋼管内の充填状況をリアルタイムで管理モニターに表示する。また、Webカメラの接続により、アジテータ車(コンクリート輸送車)の荷卸し状況なども表示・確認が可能。治具を途中階に取り付けられるよう考案したことで、スラブ上の安全な場所で、天候に左右されずに計測準備を行えるとしている。
同社ではこれまで、アジテータ車の荷卸し場や鋼管の最頂部・中間階に、圧入速度確認のために管理要員を複数人配していた。同システムにより、治具と管理モニターそれぞれへの人員配置で、視認によるコンクリート充填施工管理がリアルタイムで可能になり、品質管理の確実性が向上するとともに、管理要員の削減などが図れるという。また、これらのデータや画像は施工記録としても保存可能で、インターネット経由で、アクセス権のある工事関係者が同時に監視できる点も特長としている。
同社は、今回の工事における高強度コンクリート充填の施工実績、施工管理体制などについて、(社)新都市ハウジング協会にCFT造施工技術の判定を依頼。3月10日付で最高ランクの「SA」と認定された。今後は、CFT柱の採用件数が増加している事務所ビルや庁舎などの受注に向け、営業活動を強化する方針だ。

建築設備技術者協会がカーボン・ニュートラル化推進を目的とした講習会を開催
2010年06月25日
(社)建築設備技術者協会は、「低炭素社会の実現に向けたリニューアル 〜今こそカーボン・ニュートラル化を推進するための転換期〜」と題した講習会を、7月28日(水)に建築会館ホールで開催する。
世界の多くの国々では、IPCC第4次評価報告書の警告を受け、2050年までに温室効果ガスを現状から半減させることが、地球温暖化対策の長期目標になりつつある。設備面では、既存更新という概念ではなく、建物を改修しながら長寿命化を図り、かつ省エネ対応や再生可能エネルギーの導入等により資産価値を向上させていくことが必須となっている。
同講習会では、カーボン・ニュートラル化を推進するために、コンバージョン等も盛り込んだ最新のリニューアル事例を紹介し、今後の動向を探るとしている。
同講習会の参加費は、同協会の会員が18,000円、一般が21,000円(資料代・消費税含む)で、プログラム(予定)は以下のとおり。
10:00〜10:05 主旨解説 事業委員会委員
10:05〜10:50 『基調講演』澤地孝男氏(建築研究所)
10:55〜11:40 『某ホテルリニューアル事例』西岡理郎氏(日建設計)
12:40〜13:25 『碧南市藤井達吉現代美術館 築25年の旧商工会議所ビルの美術館へのコンバージョン』古賀大氏、古谷政秀氏(日本設計)
13:30〜14:15 『某大学キャンパス事例』山崎聡氏(高砂熱学工業)
14:25〜15:10 『某事務所ビル改修事例』蔦宗俊一氏(新日本空調)
15:15〜16:00 『事例紹介』講師調整中
なお、受講の申し込みおよびプログラムの詳細については、下記URLの同協会ホームページに掲載されている。
http://www.jabmee.or.jp/kousyuu/honbu/0615_1826.php

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