国土交通省が工事成績情報の活用を積極的に展開。公共発注機関全体での共有化を目指す
2004年8月26日
国土交通省は、工事成績の活用を積極的に展開する方針だ。建設業者の技術力を適切に評価することを目的に、2005年度からの地方公共団体への同省直轄工事の工事成績データの提供や、地方公共団体における工事成績データの交換手法なども検討する。市町村向けの工事成績要領も策定する見込みだ。
同省は工事成績について、2003年度から直轄工事を対象に、過去の工事成績を活用した発注方式を試行的に導入。2004年6月末には、各地方整備局に対し、一般競争入札の参加資格審査に用いる過去の工事成績について、同種工事の成績が標準点の65点未満の場合、施工実績として認めないという通達を出した。しかし、同省直轄工事の工事成績情報だけでは、企業の技術力を完全に把握できないため、同省では公共発注機関全体での工事成績情報の共有化を目指すこととなった。
こうした施策と並行して、同省は工事成績データベース(DB)の整備も実施している。各地方整備局単位でしかDB化されていなかった工事成績情報を、全国版に集約した。このDBは近日中に稼働させる予定で、企業の適正な評価と不良不適格業者の排除を徹底する方針だ。また、DB化にあたっては、工事成績要領の統一化も進めるという。このため、市町村でも対応が可能となる簡易な工事成績要領の作成も検討する。最低限必要なチェック項目を抽出し、市町村などの担当者が活用できる要領を作成する考えだ。
一方、直轄工事を対象に工事成績を用いた発注方式も検討する。入札参加者を過去の工事成績で絞り込むだけでなく、高得点者への優遇策も発注方式に取り入れる。例えば、総合評価方式の「技術評価」を「過去の工事成績」に変え、過去の工事成績を応札価格で総合的に評価し、落札者を決定する方式などがいまのところ検討対象となっているようだ。
同省では、工事成績の活用策の検討だけでなく、採点手法の公正性や信頼性の確保策なども検討する考えで、今後工事成績に関連した施策に積極的に取り組む方針だ。

コアシステム採用の自治体は9団体。関東甲信越地方、都県政令市の「電子入札システム」方式が出揃う
2004年8月26日
7月27日に開催された、「関東地方CALS/EC推進協議会」幹事会の関係自治体の報告によると、関東甲信越地方の都県政令市の電子入札システム方式が出揃い、国の機関と同じコアシステムが、導入予定を含め9団体で採用されることが明らかになった。
今年3月の都県政令市の電子入札導入状況は、コアシステム採用または採用予定の自治体は茨城県、栃木県、千葉県、山梨県、横浜市、川崎市、千葉市の7県市だった。今回の同協議会幹事会では、新たに群馬県、神奈川県がコアシステムを採用する考えを表明した。群馬県は2005年度に導入。神奈川県は今年度から2005年度後半にかけて、システム開発・試行を行い、2006年度に本格運用を予定している。これに対して、長野県は今秋から独自方式による試行運用を開始する方針だ。
さらに、都県および傘下市区町村の活動では、茨城県は「電子入札システム共同利用検討委員会」を今年4月23日に設置。2005年度には一部市町村との共同利用を想定している。群馬県は市町村と共同でシステムを構築中で、千葉、神奈川両県も県内自治体が利用可能な仕組みを前提にシステム開発を進めている。
また、会議の中では、入札情報の電子提供、電子納品に関する取り組みについても情報交換が行なわれた。入札情報の電子提供については、茨城県が昨年度に運用開始した電子入札システムのPPI(入札情報サービス)機能を利用し、入札情報や発注図書を提供していく方針を明らかにしたほか、
群馬県では、電子入札のサブシステムとして開発、電子入札システムとの同時稼動を検討中。神奈川県は2006年度からPPIでの公表を想定している。
一方、電子納品に対する各自治体の取り組みでは、東京都、神奈川県、群馬県、千葉市が2004年度にも実証実験を行う見通しが明らかとなった。長野県では、既に一部工事で運用を開始、千葉県は昨年度に、委託業務で試行し、本年度には各出先事務所で1件以上の工事を対象に試行を本格化させる方針だ。

山梨県が10月1日から、総務部営繕課の発注工事の積算内訳書、設計図面などを電子媒体で建設業者に配布
2004年8月26日
山梨県は、本年10月1日から、総務部営繕課の発注工事について、積算内訳書(金抜き)や設計図面などを電子媒体で建設業者に配布する方針を決定した。積算内訳書は予定価格が250万円以上の工事、設計図書は予定価格が2,000万円以上の建築工事および予定価格が1,000万円以上の電気・機械設備工事が対象となる。
同県では、土木部が既にすべての工事で、積算内訳書、設計図面の電子媒体での配布を行っている。総務部では、2003年度から予定価格が1,000万円以上の工事については、積算内訳書(金抜き)をフロッピーディスク(FD)で配布していたが、2005年4月から一部工事で、2007年4月から全工事で電子入札が導入されることから、入札参加者が電子化に慣れ、適正で迅速な見積もりを行えるように、電子媒体での配布枠の拡大を決定した。また、設計業務を含む委託業務についても、予定価格が100万円以上の業務を対象に、業務委託仕様書を電子媒体で配布する。
ファイル形式については、積算内訳書はpdf形式またはcsv変換形式(xls形式)、設計図面や業務委託仕様書はpdf形式。入札参加者はWindows上で使用可能な空のFD(2HD)またはCD-RWを同県に持参すれば、積算内訳書や設計図面などを保存したものと交換することができる。
入札後のデータの取り扱いについてはFDやCD-RWの返却は不要だが、設計図面は著作権法の著作物に相当することから、同県では、入札参加者に対し、節度ある取り扱いをするよう求めている。

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