ゼネコン各社で情報セキュリティ対策の強化が広まる
2005年2月24日
建設プロジェクトの設計・施工を行うゼネコン各社では、顧客の重要な情報を数多く扱うため、情報セキュリティ対策を強化する動きが広まっている。企業の信頼を著しく低下させる情報漏えいを防ぐため、情報セキュリティ管理に関する国内外の規格認証の取得や、運用中の情報管理システムの機能向上を図るなど、従来システムの信頼性向上を目指す企業が増えている。
2002年頃に始まった大手ゼネコンを中心とした情報セキュリティ強化の動きは、現在では準大手ゼネコンにも拡大し、品質・環境・労働安全衛生に続く企業価値を左右する4番目の管理項目として注目されている。
これまでに情報セキュリティ管理の国際的規格「BS7799」と日本の国内規格「ISMS」の認証を取得したゼネコンは大成建設、清水建設、大林組の大手3社。大成建設は2002年に建設会社として世界で初めて「BS7799」を取得し、「ISMS」の認証も取得した。清水建設は2004年に、大林組は2005年に入って「BS7799」と「ISMS」の認証を取得し、顧客データの流出を厳重に防ぐ体制を整えた。竹中工務店は認証取得に前向き、鹿島は認証取得の必要性も含めて検討している段階ではあるが、両社ともに既に独自のセキュリティ対策は導入済みだ。
大手各社が情報セキュリティ対策で先行するのは、自社の対策で蓄積したノウハウを応用し、建物の設計・施工でさまざまな情報セキュリティ対策を提案すれば、受注競争を有利にできるという狙いもある。今後、こうした営業活動の活発化も予想される。
しかし、情報セキュリティ規格の認証取得には、品質ISOや環境ISOに比べ膨大な労力と資金が必要になる。また、費用の割に営業上のメリットが少ないとの見方もあるため、規格の認証取得にはこだわらず、既存の情報セキュリティシステムを見直しや、機能の向上を加速させる企業も多い。
ゼネコンの情報セキュリティ対策の強化には、2005年4月に全面施行される個人情報保護法に合わせた動きという側面もある。同法では顧客などの個人情報を取り扱う事業者に漏えい防止体制の確立を求めており、今後も自社で管理する顧客データシステムの強化が広がるだろう。

ダイダンが建築設備の機械室作図を効率化するシステムを実用化
2005年2月24日

ダイダンは、名古屋大学古橋研究室との産学共同研究により、「機械室作図支援システム」を開発した。建築設備の心臓部となる機械室の作図や検討作業を効率化し、人為的ミスの排除を可能にするという。
同システムは、対話型進化的計算と呼ばれるアルゴリズムに基づき、建築図とフロー図(系統図)から経済性、保守性を勘案して最適な機器の配置や配管ルートを自動で作成する。
建築物の大規模化や複雑化に伴い、設備工事の建築工事に占める割合が増加している。特に、建物の設備機能が集約する機械室は、竣工後の保守、メンテナンスにも配慮した設計が要求される重要な場所となり、機械室だけで配管工事の35%を占めるという。この機械室の作図に要する作業を効率化し、設計品質を均一化できるのが「機械室作図支援システム」の特徴だ。
従来は、ベテラン技術者でも3週間の検討時間を要し、個人の熟練度や能力に依存していたが、同システムは技術者のノウハウを反映させたAI(人工知能)を搭載し、経済性・見栄え・保守性・騒音などを総合的に判断して自動的に配置案やルート案を提示。作図・検討時間は従来の3分の1程度に短縮されるという。また、機器、配管のレイアウトの検討はマウス操作で可能で、検討結果の3次元表示やCADソフトへの展開もできる。3次元によるシミュレーションにより、完成後の使い勝手やリニューアル時の対応などについて、顧客との事前協議も可能だ。
ダイダンは同システムをすでに20件程度の工事に適用しているが、今後も生産性向上やプレゼンテーション力の強化を図るため、建築設備が複雑な病院施設などの機械室の作図に、同システムを積極的に活用していく方針だ。


パスコ、三菱電機、エヌ・ティ・ティ・ドコモが3社共同で、携帯電話に3次元都市地図やGISデータを配信する技術を開発
2005年2月24日
パスコ、三菱電機、エヌ・ティ・ティ・ドコモが3社共同で、インターネット接続サービスを利用し、携帯電話に3次元都市地図やGIS(地理情報システム)データを配信する技術を開発した。
携帯端末への地理情報配信は、携帯端末へ制約された処理能力の中でいかにわかりやすくコンパクトな情報を提供するかが重要になる。そのため、まず配信先の携帯電話端末の処理能力を自動算定し、端末の処理能力に見合う最適なデータ量を配信する伝送処理技術を開発した。
配信するデータも、市販の3次元都市地図を利用して特徴的な地上物を解析・登録。建築物情報については、外観窓枠の並び方のパターンなど、人が建物を識別する目印になる情報を、単純な文字列情報に置き換えて表現することでデータ量を削減し、通信負荷の軽減を可能にしている。さらに3次元空間を表示する視点の位置に対応し、表示する建物の大きさや前後関係をもとに、地理情報を表現するオブジェクトを自動的にレイアウトすることで、3次元都市地図と地理情報を複合して表示することができる。
また、用途に応じ、目印になりやすい交差点角の建物や駅入口など、建物や道路などの重要度を記録。情報提供時には、目印となる建物を優先的に表示することが可能となっている。
同技術は、2月中旬に三菱地所の協力を得て、東京・丸の内地区で歩行者によるナビゲーション実証試験もおこなわれており、地図情報などに立脚した利用者サービスとして注目されている「LBS(位置情報サービス)」を支える基盤技術の一つとして、道案内、緊急時の防災避難経路、観光案内、設備点検業務の入力支援など多様な用途への適用が期待されている。

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