国土交通省官庁営繕部が、建築工事でのユニットプライス型の積算を検討開始
2004年6月24日
国土交通省官庁営繕部は、建築(営繕)工事の積算のあり方を検討するため、7月8日に、「建築積算高度化システム再構築調査研究会(仮称)」を設置する。学識経験者や国・地方の公共発注機関の担当者、設計・建築積算関係者の各業界団体代表者、公的調査機関などで構成し、建築コスト管理システム研究所が事務局を担当する予定だ。研究会は、歩掛かりを用いない「ユニットプライス型積算方式」の導入に向けた検討や、積算作業の合理化・省力化、性能発注など新たな発注方式への積算面での対応などを検討する。会合は3〜4回程度開き、2005年3月には検討成果をまとめる見込み。また、必要に応じて、実務担当者レベルの作業部会を下部組織として設け、詳細な検討を行う方針だ。
主な調査検討内容は「営繕分野でのユニットプライス型積算方式の適用性の検討・整理」、「直轄営繕工事で提出された工事費内訳書データと現行の複合単価、市場単価、見積もりなどの積算との比較分析や、現行積算基準に基づく共通費との比較分析」、「共通費のモニタリングとその妥当性の検証」、「ユニットプライス的な各種単価の大括り化など、積算の省力化・効率化方策」、「積算の説明性・市場性向上のための方策」、「PFI方式をはじめとした性能発注など新発注方式に対応した積算手法の確立」など。先行してユニットプライス型積算方式の適用性などを9月までに検討し、同月にも直轄営繕工事での請負代金内訳書の試行収集を開始する予定だ。その後、収集したデータの分析結果をもとに、積算の妥当性や作業の合理化、説明性向上のための対応策などを議論する。
ユニットプライス型積算方式とは、入札実績や積算実績などのデータベースに受発注者間の契約金額の内訳などを蓄積させ、そのデータをもとに、1立方メートルや1平方メートルあたりの単価(ユニットプライス)を算出し、それをもとに積算するもの。従来の歩掛かりや労務単価、資材単価などを積み上げる方式に比べ、効率良く積算作業ができる。
国土交通省は、10月にも道路舗装工事でユニットプライス型積算方式の試行を始める。建築(営繕)工事では従来、市場単価方式や、歩掛かりと材料単価を組み合わせた複合単価方式などの積算が進められており、従来の取り組みも生かせる形で同方式の導入を検討する。

大成建設がオフィスビルの性能表示に対応したシステムを開発
2004年6月24日
大成建設は、オフィスビルの性能や機能を細かく評価して明示する「オフィス性能設計システム」を開発した。オフィスビルの新築・改修時の設計段階で、顧客が求めるオフィスビルの性能と事業予算を明示しながら、顧客の要望するオフィス性能や事業予算に合わせた最適な建物の提案が可能となるとしている。
同システムは、約150項目のオフィス性能について、評価シートを使用して顧客にヒアリングを行い、顧客ニーズを建物の性能特徴として設計案に盛り込む仕組み。設計段階での建物仕様の決定根拠が明確となり、顧客との合意形成を効率的に行うことが可能だとしている。
評価シートの約150項目のオフィス性能は、同社の設計・施工の実績に基づくデータから抽出したもので、「拡張・更新性」、「室内環境」、「情報化対応」、「セキュリティ」、「構造安全性」、「災害安全性」、「地域性」、「省エネルギー」、「省資源」の9項目に分類されている。また、顧客の幅広いニーズに対応するために、5段階の性能レベルを選択できるようになっている。
顧客が選択したオフィス性能は総合的に評価され、レーダーチャートなどでわかりやすく明示。要求性能に対応したコストも表示し、ニーズと予算に合わせた設計提案を可能とした。リニューアル時には改修前の建物と、顧客の要望する改修案の性能評価を比較することもできる。さらに、同システムはエンドユーザーのニーズに対応したオフィス性能を明示し、総合的に評価できるため、既存オフィスビルでのデューデリジェンス(物件の多角的な詳細調査)などの資産価値評価にも、客観的なオフィスの評価データとして有効だとしている。
今後同社では、既に導入している環境配慮型設計システムと組み合わせて、すべてのオフィス設計に適用し、高付加価値の建物の提供により事業の信頼性を高め、オフィスビルの受注拡大につなげていく方針だ。

五洋建設とエイ・アイサービスが3次元動体位置管理による物流調査システムを共同開発
2004年6月24日
五洋建設とエイ・アイサービスは、倉庫などで作業する人や機械などの動きを3次元で把握し、作業状況を多様な表示方法で再現する、「3次元動体位置管理による物流調査システム」を共同開発した。
今回開発されたシステムは、施設運営の調査を効率化するもので、従来の人的作業よる計測ミス、データ取得ミスを排除し、効率よく施設運営の状況を分析して、生産性・作業性の改善や施設リニューアルや新築時のシミュレーションに役立てることができるもの。
3次元動体位置管理を基盤とし、施設内の人や物の移動状況を0.5秒〜3秒ピッチで記録して、作業状況をデータ化。解析データとして「作業動線表示」、「作業累積分析」、「滞在時間体積表示」、「立寄集計分析」、「作業比率分析」、「タイムスタンプ分析」などの分析結果を得ることができる。
また、システムの基盤となっている3次元動体位置管理とは、施設内の天井および移動体(人やフォークリフト、台車など)に赤外線・超音波の送受信機を設置し、移動状況をPC等の画面に出されたバーチャルリアリティ上の3次元建物モデル内に表示、リアルタイムに状況を確認するもの。音声認識システムを加えることにより、作業者への危険警告や行動指示などが可能だ。送受信機は100〜1,500平方メートル程度の室内への設置が想定されており、一般的な倉庫(天井高5メートル程度)では約25平方メートルごとに受信機を1基設置。送信機は1システムあたり30個まで据え付け可能となっている。
同システムは、物流調査に限らず、医療福祉施設での入居者の行動支援や、店舗における顧客の行動調査などへの応用が期待されている。
また、システムの基盤となる3次元動体位置管理についても、作業現場における危険警告システムとしての利用や、入退室が厳重管理される研究施設や危険区域の制御システムとしても応用が可能なため、同社では、今後幅広い事業分野に提案していく方針だ。

All Copyrights reserved by DAIKIN INDUSTRIES,LTD