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■ 特集「設備設計/管理 最新ITレポート」 | ||||
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第12回「ITによる安全衛生水準・業務効率の向上の取り組み」 | ||||
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「設備設計/管理 最新ITレポート」の第12回は、「ITによる安全衛生水準・業務効率の向上」をテーマに、三機工業(株)環境・安全推進室課長の泉 和男氏にお話を伺った。
同社では、厚生労働省が1999年4月に示した「労働安全衛生マネジメントシステム(以下OHSMS)に関する指針」に準拠した「三機労働安全衛生マネジメントシステム」を構築し、2001年12月より全店での運用を開始している。このシステムは、労働安全衛生管理に関連するさまざまな情報をデータベース化したもので、空調衛生工事業関連では初の自社OHSMSとなる。 今回のインタビューでは、自社OHSMSを構築した経緯やその狙い、そして、ITの活用と絡めた運用の実際についてお話を伺った。 インタビューを通して、ITによって、本来の業務効率向上を達成するための進め方が見えてきた。 |
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【自社OHSMS構築の経緯と目的】 | ||||
Q:
まずOHSMSを構築した経緯とその目的についてお伺いできますか? |
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『当社では、建設現場での災害0を目指して、さまざまな取り組みを進めていますが、成果も上がってきているものの、いまなお多数の労働者が被災しており、昨今は災害削減数が頭打ちになっている感があります。この現状を打破するために、リスク事前評価(リスクアセスメント)による潜在的危険性の除去・低減させるとともに、安全衛生水準の向上を図ることを目的に自社OHSMSを構築し、運用を開始しました。
厚生労働省が1999年4月に示したガイドラインに基づき、「三機労働安全衛生マネジメントシステム」として体系化したもので、過去の災害データによるリスクアセスメント並びに、労働安全衛生管理のマニュアル化・標準化により、潜在的な危険性を低減させるとともに、安全衛生水準の向上と、安全書類のIT化によって、現場担当者の煩雑な事務の合理化につながるシステムを構築したのです。 当社の安全管理は諸先輩方の努力により、しっかりとした安全管理制度が既にできておりました。その制度を厚生労働省の指針などに沿ったかたちで集大成・マニュアル化したものが、当社独自のOHSMSとなっています。従って、以前と管理方法が変わったり、新規に書類が増えるということがないシステムとなっております。 また、安全衛生水準を向上させるためには、全社的に高いレベルでの安全衛生水準の均一化が必要で、そのためには、各建設現場、各支店、本店で安全管理ノウハウの共有化が求められますので、情報共有のメリットから、ITの活用がポイントとなっております。』 |
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【社内イントラネットを活用した情報共有】 | ||||
Q:
潜在的危険性の除去・低減と安全管理水準の向上をどのような方法で図るのですか? |
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『本社では、当社の過去の災害事例から構築された「災害データベース」と過去7年分の「災害分析」をもとに、リスクアセスメントを行い、各事業部・各支店ごとの「危険有害要素特定表」を作成しています。各事業部・各支店ごとに作成しているのは、地域によって災害の特徴があるからです。 |
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【使い勝手に配慮した手順書づくり】 | ||||
Q:
具体的に、どのような工夫をされているのですか? |
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『例えば、以前の「安全衛生管理提出書類」は、厚い1冊のファイルを自社用と協力会社用の2種類を用意していたのですが、今回、自社用を廃止しまして、「現場安全管理手順書」として、5ページにまとめています。5ページであれば、誰もが探しやすく、使う気になってくれます。また、サーバー上にアップしていますので、その都度用意していた厚いファイルが不要になり、環境にも配慮しております。 |
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【柔らかいIT化の推進が、全社的向上へとつながる】 | ||||
Q:
本当に使いやすそうですね。業務の役に立つ、効率向上につながるという観点でいろいろ工夫されているわけですね? |
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『そうですね。例えば、全社員、PCの初期画面は写真のようにオフィスの絵になっていて、掲示板や書類棚などがビジュアルに表示され、絵をクリックすると情報が取れるように設定されています。これは、スターオフィスの画面ですが、最初の取っ掛かりから、人にやさしいインターフェースになっています。 |
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![]() 三機工業(株)「社員のPC初期画面(スターオフィス)」 |
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【浸透を早める現場の要望への早い対応】 | ||||
Q:
システムの構築までに、大変な時間と手間が掛かったのではないですか? |
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『準備期間は5ヵ月でした。先程お話ししましたとおり、当社の安全管理は諸先輩方の努力により、既にしっかりとした安全管理制度ができておりました。その制度にシステムを補充する制度をプラスし、集大成・マニュアル化したものとなっております。
もちろん、厚生労働省・建設業災害防止協会のガイドラインに沿っていますので、大手ゼネコンのシステムと近いものになっています。 昨年の11月からは、全国の現場を行脚して、このシステムを啓蒙し、現場の意見を聞いて回りました。そして、その意見を反映したシステムに改良し、昨年の12月から運用を開始しました。現場を回って、現場独自につくっていたさまざまな書式を積極的に取り入れました。また、現場で必要な計算等のソフトウェアも当社のサーバー上の「三機ASPサービス」というサイトにアップしています。運用開始後も、現場からの声を吸い上げ、それにできるだけ早く対応しています。 また、運用開始から3ヵ月後の今年の2月に開催された社内の中央安全衛生委員会で出たさまざまな要望にも、既に8割方対応し、システムを改良しました。 現場の要望に早く応えているので、現場での浸透も早く進んでいます。運用後に、「自分のつくったソフト・書式を使ってくれ」という声をたくさんもらっているのが、その証だと思います。 また、現場を知っている者がつくっていることも、受け入れられている大きな要因だと思います。』 |
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【不可欠な協力会社のIT化】 | ||||
Q:
協力会社のIT化も目標の1つと伺ったのですが、どのように進めているのですか? |
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『先程ご説明した「安全衛生管理提出書類」は、協力会社用にも厚い1冊のファイルを用意していますが、これも今回PCデータ化しまして、データで無償配布し、併用としています。
IT化を推進するためには、協力会社のIT化も不可欠ですので、協力を要請するとともに、協力会社もIT化しやすいように、当社向けの書類の作成が容易にできるよう、配慮しています。 実際に、協力会社から提出していただく「労働者名簿」は、Excelで作成してEメールで送付することを展開中です。 協力会社には、PCの購入、Excelが使用可能、インターネットに接続ができるという3つをIT化の最低条件として伝え、極力対応できるよう指導しており、現在、協力会社の一次下請けの約95%はこの条件をクリアしています。 協力会社のIT化も社内のIT化同様、柔らかく推進することが重要で、一部の協力会社だけがついて来れるようなものでは、全体としての安全衛生水準の向上にはつながりません。 安全衛生管理のグローバル化により、一元化に向っていく中で、合わせやすいスタンダードをつくって、現場に関わるさまざまな企業がスタンダードに合わせた業務の進め方をする。それが安全衛生水準の均一化と安全衛生水準の継続的向上にはつながっていくと思われますので、このシステムを柔らかく推進するとともに、求められれば、どんどん内容をオープンにして、広く利用されるシステムに育てたいと考えております。』 |
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